県産材「北信濃の杉」の家 NPO-#022
kawada/Wakaho/NAGANO/2016
長野市郊外の南東部、市街化調整区域内の既存集落。計画建物は当社で50年程前に建させて頂いた住宅の建て替え計画である。40年の間には幾度のリフォームを重ね、生活の変化に対応してきたが、若夫婦への世代交代のこの時期に思い切って建て替えを希望された。平成9年に縁あって隣地を購入されていたこともあり、計画はゆったりとした敷地となっている。
県産材「北信濃の杉」の家シリーズの第22作品目。お客様の要望は、二世帯-三世代が気兼ねなく暮らせる住まいということである。以前は伝統的な田の字型プランで和室主体といった寄合や冠婚葬祭に適した間取りであったが、現代の生活実情に合った極力使用しない部屋を無くし実用性の高い間取りを希望されていた。そこで和室は仏間のある座敷一間とし、そこにLDKと主寝室を間仕切り壁で繋げられるように配置し、臨機応変な使用が可能なプランとしている。
二世帯への対応は、上下、左右、離れといった様々な形態があるが、今回は1-2階の関係で水廻りは双方に全ての機能を持たせている。上下の繋がりは共に利用される玄関の吹抜けを介して程よい気配が感じられるようにしている。今回は県産材シリーズではあるが、室内の仕上げを1-2階で大きく変えている。2階は純然たる「北信濃の杉」の魅力を出し、1階は造作に木曽桧や欅、屋久杉、栗を使い和の「しつらえ」に配慮している。
「世代交代と家づくり」はいつの時代にも大きなテーマである。現代の住宅の性能的は二代三代と引き繋がれることができる一方で、「継承したい」「生活環境に可変的」そんな住まいになっているか?疑問が残る。私たち造り手は、住まいという文化をお客様に伝えることが今まさに必要となっているように思える。
DATE
所在地:長野市若穂川田
主要用途:二世帯住宅
設計/施工:やま秀 田中建設 + 建築工房 アーキクラフト
構造/工法:木造在来軸組工法
延床面積: 185.50m2(56.11坪)
竣工:2016.12